【感想】Economistの温暖化訴訟記事

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  • 英語の勉強を兼ねて読んでた。
  • 地球温暖化防止のため、環境保護団体が政府や企業を訴えて火力発電所建設とかを差し止めさせてるケースが世界中で増えているとかいう内容。訴訟件数はアメリカがやっぱり多い。日本では訴訟まではいかないけれど、石炭火力発電所建設を計画していた企業に財務リスク評価書を日本の投資家と共同で送って、建設をやめさせたとかの事例が紹介されている。気候変動訴訟が企業にとって経営上の大きなリスクになってるとのこと。
  • 火力発電所建設差し止めだけじゃなくて、石油会社に対して、排出量を何十パーセントか削減しろ、みたいなのもあるみたい。で、なんと企業自体が排出する量だけじゃ無くて、消費者が排出する量についても何とかしろと。企業側は控訴してるからまだ結果は確定してないけれど、これ、ちょっとやり過ぎでは? という気もする。消費者の排出量を減少させるには、石油の販売量自体を減らすしかないのでは。で、そのためには価格を引き上げるということになるのかな。でもそれは国が石油に課税すれば良いのであって、一企業がやることでは無いと思うけど。
  • あと面白いのが、企業が具体的にどれくらい責任があるのかを定量的に評価する試みもあるということ。ある地域で温暖化により氷河が溶けて居住者の土地が被害を受けたとき、温度上昇1度あたり何パーセントが人為的なものであり、さらにその何パーセントがある企業の排出したCO2によるものなのか、ということを計算した上で、企業の費用負担分を求める、というもの。ただ、こういうのをやり出すと、企業だけでなくて一般市民もそれぞれの費用負担分を支払わないと不公平だと思う。
  • こういう流れは基本的に悪くないことだとは思うけれど、やるなら誰が何パーセント責任があるのかというのを定量的にやるべきで、なんでもかんでも企業が百パーセント悪い、というロジックでやるべきではないと思う。で、そうやって定量的にやっていったら、おそらく企業だけでなく一般市民もそれなりに排出の責任があるということが判明してくるはずだ。そうなったら、訴える相手は企業だけでなく一般人も含むことになる。そうした場合、それを司法の領域で扱うことは適切なんだろうか? むしろそれぞれの負担分に応じて課税していくとかの方が公平なんじゃないかなあ、と思った。
  • あるいは、そうやって制度を変えていく一歩手前のステップとしてやっているのかも。それなら納得できるけど。