【雑文】講義スライドをかつての私の倍速で作ってる今の私は

4月に某田舎大学の教員に着任して、毎週講義スライドを何十枚も作っている。いろんな雑用もある中でやっているのだけど、大体毎日6時前には帰れている。

ずっと前に初めて教員になった時は、講義準備で毎日夜遅くまで残っていたと思う。しかも雑用はそんなになかったのに。睡眠時間は毎日6時間くらいしかとれなかったなあ。それが今は毎日7時間眠っている(亀が暴れて早朝に起こされることもあるけれど)。

何が変わったのだろうか? 単純にスライド作りに慣れたとか、講義のネタが頭の中にいろいろ蓄積してきたというのもあると思う。でも、それだけでなくて、スライドの作り方が前よりずっと効率的になったのだと思う。ちょいとそのスライド作りの手順を示してみよう。

手順1:Workflowyでスライドのアウトラインを雑に作る

別にWorkflowyでなくてもいいけど、動作が滑らかなのでこの方がストレスがたまらない。

アウトラインを作ることで、どんな知識が必要なのかがわかってくる。こういう感じの本を読んでおいた方がいいなあ、とか。そういうのをちゃんとメモっておく。

この段階でのアウトラインはかなり雑でいい。あくまで、必要な資料を特定するための作業なので。

手順2:Obsidianに読書ノートを作っていく

手順1で必要な資料が見えてきたら、その資料の読書ノートをせっせとまとめていく。私がこのブログによくアップしているようなやつだ。

読書ノートを作るのはいろいろ試したけどObsidianが一番良いと思う。ノート同士のリンクを張ったり、ノートにタグをつけたりできるので、必要な情報に後からアクセスするのがすごく楽。

手順3:手順1で作ったアウトラインに手順2の読書ノートの内容を次々とコピペしていく

コピペするだけだと読みにくいので、全体の流れが見えるようにあちこち調整してアウトラインを整形していく。

これで大体アウトラインが出来上がる。この段階でアウトラインをあまりきっちり作る必要はない。アウトラインの清書は次の手順でやる。

手順4:アウトラインをWordにコピペして、アウトラインの清書をする

腹立たしいことに、WordにコピペするとWorkflowyでのアウトライン構造が崩れてしまう。見た目上はそんなふうに見えないけど、Wordでアウトライン表示にしてみると、アウトラインのレベルが全部なくなって、ただたくさんの項目が同じレベルで並んでしまうのだ。ここはWordの仕様上いかんともしがたいみたいだ。アウトライン表示の状態でちまちまタブキーを押して、アウトライン構造を清書していく。

ここで、各スライドの見出しに使いたいところをアウトラインのレベル1に設定することを忘れずに。

手順5:アウトラインをPowerPointで読み込んで、スライド清書

アウトラインをPowerPointで読み込むと、アウトラインのレベル1の部分を見出しにしたスライドがいっぺんに作れる。これでほぼスライドは完成したと言ってもいい。あとは、文字が多すぎたり少なすぎたりするところを調整したり、必要に応じて図表を挿入したりすればいい。

コメント

なお、スライドデザインは細かいことにこだわりすぎると無限に時間が溶けていくので、適当でいい。デザインのテンプレを適当に設定し、スライドマスターでフォントとかフッターとかを良い感じにいじっておく。それ以上のデザインは求めない。俺はデザイナーではないのだと開き直るといい。

また、PowerPointでスライドを読み込むとき、なぜかスライドマスターで設定したフォントではなく、Wordファイルで設定していたフォントが利用されてしまう(こういうわけわかんない仕様が多いのでOfficeは嫌いなのだけど仕方ない)。だから、フォントは前もってWordで設定しておく必要がある。

今回示した手順で一番大変なのは手順2の読書ノート作り。結局、読書ノート作っちゃえば講義スライドはできたも同然なのだ。極端なこといえば、このブログにアップした読書ノートを見せながら講義したって良いわけだしね。

ただ、読書ノートを作るのは私の場合、決して仕事という感じはしないのだよ。ブログ記事書いてるのと実質的に同じだから、趣味の延長のような感覚でやれてる。だから土日に自宅で読書ノート書いてても苦痛を感じない。これが、土日も大学に行ってパワーポイントいじるとかだったらかなり苦痛だと思う。自分が苦痛を感じない作業を切り出して、そこにウェイトを置くような仕事の仕方にした、というのが今回のやり方のポイントなのだと思う。

あとついでにもう一つ補足。どうしてこんなにアウトライン機能を多用するのかというと、アウトラインを使うと、コピペした読書ノートをあれこれ整形しているうちにスライドを作ってしまうことができるから。いきなり読書ノートをPowerPointにコピペすると、すごくたくさんの文字で埋め尽くされたスライドページができてしまう。こいつを手直ししてまともなページにするのは結構面倒な作業だ。例えば2つのページに分割した方がいいなあ、と思ったらいちいち空のページを作って元のページの内容をコピペしないとならないとか。これが、アウトライン機能を使うとタブキーでアウトラインレベルをいじってるだけでページの分割や統合が簡単にできる。

あと、Wordを間に挟まずに、PowerPointをアウトライン表示にしておいてそこにWorkflowyのアウトラインを貼り付けるというやり方もあると思うけど、やってみると結構使いにくい。PowerPointのアウトライン機能はおまけみたいな貧弱なものなので、やっぱり間にWordを挟んでおいた方がいろいろ便利だと思う。