制度論

【読書ノート】『制度とは何か』7章から8章

制度とは何か──社会科学のための制度論作者:フランチェスコ・グァラ,Francesco Guala慶應義塾大学出版会Amazon 第7章 読心 コーディネーションが成功するためには、全員が同じ行動ルールに従うだけでは不十分だ。というのは、ほかの人たちもその行動ルールに…

【読書ノート】『制度とは何か』5章から6章

制度とは何か──社会科学のための制度論作者:フランチェスコ・グァラ,Francesco Guala慶應義塾大学出版会Amazon 第5章 構成 サールは、制度を次のように定義している。 制度は、「XはCにおいて、Yとみなされる」という形式の構成的ルールの体系である。 たと…

【読書ノート】『制度とは何か』1~4章

制度とは何か──社会科学のための制度論作者:フランチェスコ・グァラ,Francesco Guala慶應義塾大学出版会Amazon 「制度」というのは一見、地味なテーマだ。 「制度って、ようするに法律とかルールとかの話なんじゃないの?」。そういう風に受け取る人はたぶん…

【読書ノート】オストロム『コモンズのガバナンス』問読(第3回)

問い:長期にわたって持続的で自律的な共的資源管理を可能にする社会規範は、どうして維持されてきたのか? 入会地とか里山とか、なんだか素晴らしいもののように語る人たちのことがちょっと苦手だ。「協働」とか「絆」って言葉も、目の前に突きつけられると…

【読書ノート】オストロム『コモンズのガバナンス』問読(第2回)

イントロ もともとこのブログを始めたきっかけは『独学大全』に書いてあった「会読」という独学法を実践するためだった。 会読は、同じように本を読む人たちとともに行う共同行為である。これだけでも我々は、いくらか挫折や断念から遠ざけられる。(……)で…

【読書ノート】オストロム『コモンズのガバナンス』転読・掬読・問読(第1回)まで

イントロ コモンズのガバナンス―人びとの協働と制度の進化―作者:エリノア・オストロム晃洋書房Amazon 授業準備でいろいろと本を読まないとならない。私は遅読なので、なんでもかんでも読んでるわけにいかないから、読むべき本を効率的に絞り込んでいくしかな…

【用語集】先験主義と実現ベースの比較

「気候変動問題を解決するには資本主義を捨てなければならない」と主張する本が何十万部も売れている。もちろん他の経済学者からは厳しい批判が出た。しかし、そうした批判の声はあまりに地味なせいか、人々の耳にはほとんど届いていないみたいだ(以下の柿…

【読書ノート】Morality Competition and the Firm 第6章

Morality, Competition, and the Firm: The Market Failures Approach to Business Ethics (English Edition)作者:Heath, JosephOxford University PressAmazon 第6章 ミクロとマクロの契約主義 イントロ 正義の原則はなぜ存在するのか? それは、「協力によ…

【読書ノート】Morality Competition and the Firm 第5章

Morality, Competition, and the Firm: The Market Failures Approach to Business Ethics (English Edition)作者:Heath, JosephOxford University PressAmazon 第5章 Buisiness Ethics and the "End of History" in Corporate Law なぜ株主は優先されるべき…

【読書ノート】Morality Competition and the Firm 第4章

Morality, Competition, and the Firm: The Market Failures Approach to Business Ethics (English Edition)作者:Heath, JosephOxford University PressAmazon chapter4 An Adversarial Ethic for Business(ビジネスにおける対立的倫理) ビジネス倫理学が…

【読書ノート】Philosophical Foundations of Climate Change Policy第6章

Philosophical Foundations of Climate Change Policy (English Edition)作者:Heath, JosephOxford University PressAmazon 第6章 Positive Social Time Preference(正の社会的時間選好) イントロ 気候変動の問題を考えるときに、「将来世代の厚生水準を高…

【読書ノート】 Philosophical Foundations of Climate Change Policy第4章

Philosophical Foundations of Climate Change Policy (English Edition)作者:Heath, JosephOxford University PressAmazon 第4章 The Case for Carbon Pricing(カーボンプライシングの課題) イントロ 前章で議論したように、気候変動を世代間正義の問題と…

【読書ノート】『アダム・スミス 共感の哲学』

アダム・スミス 共感の経済学作者:ジェシー・ノーマン,JESSE NORMAN早川書房Amazon ちょいと時間に余裕が出てきたので、まとめないまま放置していた本をまとめてみよう。 本書は数ヶ月前に特急列車のなかで読んで、とても面白かった記憶がある。しかし例によ…

【読書ノート】『ルールに従う』第9章(実質ラスト)

ルールに従う―社会科学の規範理論序説 (叢書《制度を考える》)作者:ジョセフ・ヒースNTT出版Amazon 10章「結論」がまだ残ってるけど、特に新しい話題が出てくるわけではないので、この9章でラストということにしたいと思う。 第9章 規範倫理学 イントロ 道徳…

【読書ノート】『ルールに従う』第8章

本書は再読なのだけど、前に読んだときに一番よくわからなかったのがこの第8章だったと記憶している。書かれてることはわかるのだけど、これまでの議論との関連がよくわからなかった。まあ今回はきちんとまとめながら読んでるから、ついていけるだろう…。た…

【雑文】つまり「現実を無視すんなバーロー」ってことですかコース先生。

企業・市場・法 (ちくま学芸文庫)作者:コース,ロナルド・H.筑摩書房Amazon 「コースの定理」で有名なコースの主著です。自分の論文を書いている中で、「企業ってそもそも何?」ということが気になって、手を出してみたら面白かった。 「企業ってそもそも何?…

【読書ノート】『ルールに従う』第7章

アトピーみたいな謎の奇病にかかってしまって、しばらくセーフモードで生活していたけど、そろそろ日常に戻らなくては。胸が痛痒くてしょうがないし、肌を刺激するのが怖くて髭も剃れない(顎がフサフサしてきた)。この本が何の本だったのかも忘れつつある…

【雑文】格差の善悪を決めるのは難しい。

21世紀の資本作者:トマ・ピケティみすず書房Amazon ずっと積ん読になっていたピケティの『21世紀の資本』を昨年末から読み始めて、数日前にやっと読み終わった。ああ長かった。あと、縦書き読みにくい。数字がたくさん出てくる本は基本、横書きにしてほしい…

【読書ノート】『ルールに従う』第6章

ルールに従う―社会科学の規範理論序説 (叢書《制度を考える》)作者:ジョセフ・ヒースNTT出版Amazon 間が空いてしまって、まとめるのがおっくうになってるけど頑張ろう。たぶんこの章は本書のひとつの山場です。「ルールに従う」というタイトルの意図を端的に…

【読書ノート】『ルールに従う』第5章

ルールに従う―社会科学の規範理論序説 (叢書《制度を考える》)作者:ジョセフ・ヒースNTT出版Amazon 第5章 選好の非認知主義 イントロ 経済学者たちは選好は所与であると考えがちだ。好きなものは好きなんだからしょうがない。非合理なものなのだよ、という風…

【読書ノート】『ルールに従う』第4章

ルールに従う―社会科学の規範理論序説 (叢書《制度を考える》)作者:ジョセフ・ヒースNTT出版Amazon 4章から言語哲学やら認知哲学やらの話が入ってきて闇鍋の体を成してきた。だんだん頭がこんがらがってくるけどがんばろう。これまでの議論を雑に整理すると…

【読書ノート】『ルールに従う』第3章

ルールに従う―社会科学の規範理論序説 (叢書《制度を考える》)作者:ジョセフ・ヒースNTT出版Amazon やっと3章読み終わった。 この本は難書な上に高いのに日本ではなぜか人気があってAmazonレビューが10件もついている。一方、原書ではたった2件しかついてな…

【読書ノート】『ルールに従う』第2章

ルールに従う―社会科学の規範理論序説 (叢書《制度を考える》)作者:ジョセフ・ヒースNTT出版Amazon ああ、並行的に読んでる本とか並行的に遊んでるゲームとか並行的に観てるアニメとか並行的に気に病んでる諸々のこととかがいろいろあるのでなかなか進まない…

【読書ノート】『ルールに従う』第1章

ルールに従う―社会科学の規範理論序説 (叢書《制度を考える》)作者:ジョセフ・ヒースNTT出版Amazon 合理性について勉強する必要があってセンの『集合的選択と社会的厚生』をちびちび読んでいるのだけど、ヒースの方も読む必要がありそうなので並行的に読んで…

【雑文】自生的秩序って何なのかよくわからない

自生的秩序論でフェアトレード市場を考察する、という本があって、こないだやっと読み終わった。 倫理的市場の経済社会学:自生的秩序とフェアトレード作者:畑山 要介学文社Amazon フェアトレードとか倫理的消費とかの文献は、基本的に面白いものが少ない。「…

【読書ノート】Morality, Competition, and the Firm 第3章

Morality, Competition, and the Firm: The Market Failures Approach to Business Ethics (English Edition)作者:Heath, JosephOxford University PressAmazon 3_Business Ethics without Stakeholders イントロ わたしは、企業に社会的責任はない、なんて…

【読書ノート】Morality, Competition, and the Firm 第2章

Morality, Competition, and the Firm: The Market Failures Approach to Business Ethics (English Edition)作者:Heath, JosephOxford University PressAmazon 2_Stakeholder Theory, Corporate Governance, and Public Management 2.1. Introduction 株主…

【読書ノート】Morality, Competition, and the Firm 第1章

Morality, Competition, and the Firm: The Market Failures Approach to Business Ethics (English Edition)作者:Heath, JosephOxford University PressAmazon 1_A Market Failures Approach to Business Ethics イントロ 利潤最大化と自己利益はちがう概念…

【読書ノート】Morality, Competition, and the Firm イントロ

このごろ、エシカル消費やらフェアトレードやらについて勉強しているのだけど、なんだかピンときていない。 何がピンと来ていないのか。まず、自分自身、フェアトレード商品なんて買ったことない。もうちょっとお金持ちになったら買うかもしれないけれど、今…

【雑文】エシカルだからといってエシカルとは限らない

「エシカル消費」とか「エシカルファッション」とかの言葉が最近増えてるけど、これは変な言葉だと思う。 「エシカル」というのは「倫理的」ということだ。「倫理的」なことがあるのなら、「非倫理的」なこともあるはずだ。それでは、「非倫理的消費」ってな…