2023-09-01から1ヶ月間の記事一覧

【研究ノート】計画的行動理論の批判的検討

人はなぜ環境保全行動をするのだろう。マイバッグを使う、クーラーの温度を控えめにする、電気をこまめに消す。こうした行動を人はなぜ取るのか。 環境保全行動の規定要因を明らかにすることで、どうすれば環境保全行動を促せるかが見えやすくなる。たとえば…

身体に根付いた「善いこと」

人が何か善いことをするときの心のありようについて考えてみたい。 気候変動を緩和するために、個々人がなるべく化石燃料への依存を減らした生活を送るのは「善いこと」だと思われている。でも実際には、多くの人はそんなこと気にせずに生活しているだろう。…

理想を唱えるのは楽しいけれど

環境倫理について私がここ数日書いてきたことは、自分でもただの理想論のように思える。 社会のなかに遊びがあればいい。それはそうだろう。商店街が無くなればいいなんて考えている人はあまりいないはずだ。ただ、しょうがない、それが時代なのだと、みんな…

環境倫理は遊びを目指すべき

社会に遊びが残っていてほしいと思う。経済的に価値がないものでも、非効率なものであっても、なぜか淘汰されずに残っているものがなるべくたくさんあるといい。私にとっての環境倫理とはそのようなものだ。 一般論としていえば、その人にとってかけがえのな…

風土とは?

ここらで、風土とは何かということをきちんと整理しておいた方がいい。そうしないと、風土にもとづく環境倫理といっても、それが何を指しているのか誰にもわからなくなってしまう。 しかし、風土論はなかなか難解な学問だ。哲学者の和辻哲郎が生み出し、それ…

環境倫理は余計なのか?

現在の環境政策に対して、環境倫理はいかなる意味でも影響を与えていない。従来の思弁的な環境倫理だけでなく、前回論じた風土に基づく環境倫理も、現実においてはほとんど無力な存在だ。 しかしそれは、現在の環境政策において倫理が無用の長物だということ…

環境倫理とは? その4

12年前、私は仙台に住んでいた。東日本大震災では、街中に住んでいたので津波被害は受けなかったけれど、しばらく電気もネットもストップしていて、スーパーでも商品はほとんど置いていなかった。信号も街灯も消えていて、夜の街は闇に包まれていた。 3月11…

環境倫理とは? その3

前にも書いたように、倫理とは「人と人の間の道理」だ。だから倫理はふつう、人間と人間のあいだで起こることがらを問題とするものなのだ。 だけど、どうも「環境倫理」について考える人たちの頭にあるのはそういうことではないみたいだ。彼らは、人と動物、…

環境倫理とは? その2

「倫理」という言葉を聞いて、ピンと来る人はあまりいないと思う。日常生活の中でこんな言葉を使う人はまずいない。あなたのお父さん、お母さんが「倫理」なんて言葉を使ったことが一度でもあるだろうか? たぶん、ないはずだ。 「倫理観の欠如」みたいな言…

環境倫理とは? その1

環境問題を解決しようと思ったら、あなたは何をするだろうか? クーラーの温度を下げる。部屋の電気をこまめに消す。リサイクルを真面目にやる。レジ袋を断ってマイバッグを使う。 なるほど。それは確かに環境にいいことみたいだ。だけど、それで環境問題は…

【愚痴】わかりやすく親切な人になるための練習

薄々気づいてたけど、わたしは授業がへただ。最近、そのことを改めて気づかされる出来事があって、このままだとかなりまずいんじゃないかと危機感を持つようになっている。 授業がへただと何か困ることがあるのか? 本質的なところでは、まあ、別に困ること…