合理性
感情は道徳問題を悪化させるという議論 心理学や脳科学の観点から道徳について論じる議論の中には、感情は道徳問題を悪化させるものであるという主張が割と見られる。 なぜ感情が道徳問題を悪化させるのか? それは、感情は非合理なものであり、理性的な議論…
正義のアイデア作者:アマルティア セン明石書店Amazon ずっと前に途中まで読書ノートをつくっていたけど、同じような議論が延々とつづくので疲れてストップしてた。最終章である第18章は全体のまとめになってるので、ズルしてここだけ要約して、読書ノートを…
制度とは何か──社会科学のための制度論作者:フランチェスコ・グァラ,Francesco Guala慶應義塾大学出版会Amazon 第7章 読心 コーディネーションが成功するためには、全員が同じ行動ルールに従うだけでは不十分だ。というのは、ほかの人たちもその行動ルールに…
前に書いた記事の後日談的なものを書いておく。 odmy.hatenablog.com 調べてみたら、計画的行動理論って海外ではかなりボコボコに批判されてるみたい。今から10年近く前に、「計画的行動理論はそろそろ引退した方がいいよ(Time to retire the theory of pla…
合理性というのは、必ずしも経済合理性のことではない。「理に適う」というのが合理性ということだ。100円と200円を差し出されたとき、200円を選ぶのは理に適っている。たとえ100円しかほしくないとしても、とりあえず200円もらっておいて、100円は貯金して…
ルールに従う―社会科学の規範理論序説 (叢書《制度を考える》)作者:ジョセフ・ヒースNTT出版Amazon 10章「結論」がまだ残ってるけど、特に新しい話題が出てくるわけではないので、この9章でラストということにしたいと思う。 第9章 規範倫理学 イントロ 道徳…
本書は再読なのだけど、前に読んだときに一番よくわからなかったのがこの第8章だったと記憶している。書かれてることはわかるのだけど、これまでの議論との関連がよくわからなかった。まあ今回はきちんとまとめながら読んでるから、ついていけるだろう…。た…
アトピーみたいな謎の奇病にかかってしまって、しばらくセーフモードで生活していたけど、そろそろ日常に戻らなくては。胸が痛痒くてしょうがないし、肌を刺激するのが怖くて髭も剃れない(顎がフサフサしてきた)。この本が何の本だったのかも忘れつつある…
ルールに従う―社会科学の規範理論序説 (叢書《制度を考える》)作者:ジョセフ・ヒースNTT出版Amazon 間が空いてしまって、まとめるのがおっくうになってるけど頑張ろう。たぶんこの章は本書のひとつの山場です。「ルールに従う」というタイトルの意図を端的に…
ルールに従う―社会科学の規範理論序説 (叢書《制度を考える》)作者:ジョセフ・ヒースNTT出版Amazon 第5章 選好の非認知主義 イントロ 経済学者たちは選好は所与であると考えがちだ。好きなものは好きなんだからしょうがない。非合理なものなのだよ、という風…
ルールに従う―社会科学の規範理論序説 (叢書《制度を考える》)作者:ジョセフ・ヒースNTT出版Amazon 4章から言語哲学やら認知哲学やらの話が入ってきて闇鍋の体を成してきた。だんだん頭がこんがらがってくるけどがんばろう。これまでの議論を雑に整理すると…
ルールに従う―社会科学の規範理論序説 (叢書《制度を考える》)作者:ジョセフ・ヒースNTT出版Amazon やっと3章読み終わった。 この本は難書な上に高いのに日本ではなぜか人気があってAmazonレビューが10件もついている。一方、原書ではたった2件しかついてな…
集合的選択と社会的厚生作者:アマルティア セン勁草書房Amazon 第7章 個人間での集計と比較可能性 ああ、やっと7章読み終わった。けっきょく1ヶ月近くかかったわけか。しかも、あちこちわかんないところが残ってる。「序数型」ってけっきょくなんなんだい。…
ルールに従う―社会科学の規範理論序説 (叢書《制度を考える》)作者:ジョセフ・ヒースNTT出版Amazon ああ、並行的に読んでる本とか並行的に遊んでるゲームとか並行的に観てるアニメとか並行的に気に病んでる諸々のこととかがいろいろあるのでなかなか進まない…
センの『集合的選択と社会的厚生』の勉強がちょっと滞っている。野暮用ができてしまったというのもあるけど、7章がちょっと難しくて詰まってる(論理展開が難しいというより、新しく出てくる概念が現実世界でどういう意味を持ってるのか飲み込むのに手間取っ…
集合的選択と社会的厚生作者:アマルティア セン勁草書房Amazon 第6章 コンフリクトとジレンマ 有名なセンの「リベラルパラドックス」が登場する章。ただ、数理的な「第6*章」の方はたった3ページしかないし、証明もすごく簡単だ。それよりも、その含意を普…
集合的選択と社会的厚生作者:アマルティア セン勁草書房Amazon 第5章 価値と選択(匿名性、中立性、反応性) 今のところ、だいたい1週間に1章くらいのペースで進んでる。全部で11章だから、野暮用が入ってもなんとか年内には終わらせられるかな…。 この本は…
AHPとは? AHPという奴がありまして、簡単にいえば、選択肢を決めるのを手助けしてくれる一種の意思決定支援手法だ。 たとえばあなたが車を買いたいと考えているとする。で、カタログをひっくり返してあれこれ考えて、次のような候補にまで絞り込めたとする…
ルールに従う―社会科学の規範理論序説 (叢書《制度を考える》)作者:ジョセフ・ヒースNTT出版Amazon 合理性について勉強する必要があってセンの『集合的選択と社会的厚生』をちびちび読んでいるのだけど、ヒースの方も読む必要がありそうなので並行的に読んで…
集合的選択と社会的厚生作者:アマルティア セン勁草書房Amazon 第4章 社会的決定関数 前回の復習と今回のねらい 前章は「社会的厚生関数」というやつを取り上げて、この社会的厚生関数に常識的な条件を加えただけで必ず独裁者が発生してしまうというアローの…
集合的選択と社会的厚生作者:アマルティア セン勁草書房Amazon 第3章 社会的厚生関数 前回のあらすじ 前回は集合的選択ルールというやつが出てきた。つまり、人々のいろんな選好パターンを放り込んだら社会として何を優先すればいいかというアウトプットを出…
集合的選択と社会的厚生作者:アマルティア セン勁草書房Amazon 第2章 集合的選択ルールとパレート比較 この章から、個人の選好からどういう風に社会的決定を導き出すか、という話に入る。いつものことだけど、以下はあくまで自分の理解でのまとめ方。本文に…
合理性ってなんなんだろう、というのを勉強しようとして、サイモンの『人間活動における理性』を読み直してみたけれど、最初の1章だけまとめてみて、ちょっとこちらの考えているのと方向性がちがうなと気づいた。 たぶんサイモンは、あらかじめ何らかの問題…
cruel.hatenablog.com サイモンの『意思決定の科学』を2章までまとめて、サイモンが人間の意思決定や問題解決プロセスをどんな風に考えているのかが大体わかった。ただ、その前提にどういう合理性観があるのかはあまり詳しく書かれてなかった。今私が興味が…
意思決定の科学作者:ハーバート・アレクサンダー・サイモン,稲葉元吉産業能率大学出版部Amazon 第2章 経営の意思決定過程 第2章 経営の意思決定過程 イントロ 意思決定者としての経営管理者 諸局面の交錯 意思決定技能の開発 組織的意思決定に対する経営管理…
意思決定の科学作者:ハーバート・アレクサンダー・サイモン,稲葉元吉産業能率大学出版部Amazon まとめるのをしばらくサボってたけど、今やってる合理性云々の話とも絡んできそうなので、やっぱりまとめてみる。興味のつづく限り。 1章 会社は機械によって管…
前回に引き続き、「合理的に考えてもらうには?」というテーマでうじゃうじゃ考えている。 推論主義によれば、合理的であるとは「理由が答えられること」だ。だとしたら、人に合理的に考えてもらうには、「なぜ? なぜ? なぜ?」と問い詰めて理由を答えても…
合理的に考えるための議論環境をつくる、というのが大まかな今の研究テーマなのだけど、やってみるとなかなか難しい。そういう議論環境をつくって学生たちに議論してもらっても、かなりなあなあな感じで議論が進められてしまう。細かくマニュアルを作ったり…
意思決定の科学作者:ハーバート・アレクサンダー・サイモン,稲葉元吉産業能率大学出版部Amazon このところサボってたけど、AIの勉強はまだ続けている。 本書は、大ざっぱに言うと、コンピュータの登場によって経営はどう変わるか(あるいは変わらないか)と…