【雑文】舐める人には損得勘定で接すればいい

わたしは人に舐められやすい。舐められると、舐められたことを思い出して、台所で無意識的に呪詛をつぶやいてたりする。

だけど、舐められて腹を立てる、というのはあんまり意味のない反応だと思う。確かに、舐められてるとどんどん訳の分からない仕事を任されてしまう、というのはある。自分が欲しいものを横取りされてしまうというのもある。ただ、そういう場面で態度を改めるべきなのは、舐められる方ではなくて、舐めてる方だろう。

ただ、舐めてる方はだいたいの場合、罰を受けない。だから、人を舐めることが良くないことだと思ってないことが多い。あと、舐めてる人というのは基本的に迂闊な人格の持ち主だ(でなければ簡単に人を舐めたりしない)。だから、自分の行動に問題があると自分で気づく、という可能性は考えにくい。

こう考えると、舐めてる人に「あんたの行動おかしいよ」と気づかせるために、舐められる側が怒る、というのは合理的な反応のように、一見思える。他の人がキレないのなら俺がキレる、というわけだ。

だけど、キレることも実はけっこうコストがかかる。舐められる人はたいてい気が弱いものだから、キレたらキレたで、キレたことをいつまでもうじうじ悩み続けることになる。で、そのうじうじが裏返って、妙に怒りっぽくなったりもする。あなたの周りにいる怒りっぽい人は、実は舐められた末にぶちキレた人のなれの果てなのかもしれない。

怒りっぽい人はいろんな場面で損をする。遊びに誘われにくくなるし、ひとりでいるときもイライラして休日をムダに過ごしてしまったりする。気がついたら憎いあんちくしょうのことを思い出して、呪詛を延々とつぶやいてたりする。つまり、キレることで、とんでもないコストを支払わなければならないことになるのだ。少なくとも、キレることは経済的にはちっとも合理的といえない。

あと、舐められることには実はメリットもある。舐めてる人はだいたい油断してるので、他の人には見せないような側面をうっかり見せてくれることが多い。ふむふむ、この人はふだんペコペコしてるあの人に対し、こんなケッタイな感情を抱いていたのだねえ。人の裏の顔ばかり見るのはストレスがたまるけれど、変な期待を他人に抱かなくて済むという点ではメリットだ。

だから損得で考えると、舐められても怒らない方がずっとお得だ。あと、舐めてる人は人格がゆがんでいるので、実はいろんな人から嫌われている。同じように不満を持っている人とどこかで出会い、酒を酌み交わしながら愚痴をかわして仲良くなることもある。

というわけで、怒るのは損なのだけど、ときには勇気を出して拒絶することも大事だ。舐める人は、ときどき筋違いの依頼を当然のような顔をして持ち込んでくることがある。簡単な依頼ならやってもいいけれど、重い内容のときは断った方が得だ。つまり、舐める人に対してはつねに損得勘定だけで接すればいい。

損得勘定だけの人間関係なんてさびしくありませんか? と言われそうだけど、それは舐める人が相手のときだけ取る態度だから問題無い。きちんとした人とは損得勘定抜きで付き合う。ろくでもない人が相手のときは、損得勘定で接した方が良い。で、そういうろくでもない人の交友関係をよくよく観察してみると、損得勘定でつながっている人ばかりだったりする。