倫理学

【雑文】「いいことをしているときは、悪いことをしていると思うくらいでちょうどいい」と吉本隆明は言った。

効果的利他主義という考え方がある。これはようするに、世界をよくするために最も効果的な行動をしよう、というものだ。Wikipediaにも項目がまとめられている。説明するのが面倒なのでそのまま引っ張ってみよう。 効果的利他主義(こうかてきりたしゅぎ、英…

【雑文】自生的秩序って何なのかよくわからない

自生的秩序論でフェアトレード市場を考察する、という本があって、こないだやっと読み終わった。 倫理的市場の経済社会学:自生的秩序とフェアトレード作者:畑山 要介学文社Amazon フェアトレードとか倫理的消費とかの文献は、基本的に面白いものが少ない。「…

【読書ノート】Morality, Competition, and the Firm 第3章

Morality, Competition, and the Firm: The Market Failures Approach to Business Ethics (English Edition)作者:Heath, JosephOxford University PressAmazon 3_Business Ethics without Stakeholders イントロ わたしは、企業に社会的責任はない、なんて…

【読書ノート】Morality, Competition, and the Firm 第2章

Morality, Competition, and the Firm: The Market Failures Approach to Business Ethics (English Edition)作者:Heath, JosephOxford University PressAmazon 2_Stakeholder Theory, Corporate Governance, and Public Management 2.1. Introduction 株主…

【読書ノート】Morality, Competition, and the Firm 第1章

Morality, Competition, and the Firm: The Market Failures Approach to Business Ethics (English Edition)作者:Heath, JosephOxford University PressAmazon 1_A Market Failures Approach to Business Ethics イントロ 利潤最大化と自己利益はちがう概念…

【読書ノート】Morality, Competition, and the Firm イントロ

このごろ、エシカル消費やらフェアトレードやらについて勉強しているのだけど、なんだかピンときていない。 何がピンと来ていないのか。まず、自分自身、フェアトレード商品なんて買ったことない。もうちょっとお金持ちになったら買うかもしれないけれど、今…

【雑文】エシカルだからといってエシカルとは限らない

「エシカル消費」とか「エシカルファッション」とかの言葉が最近増えてるけど、これは変な言葉だと思う。 「エシカル」というのは「倫理的」ということだ。「倫理的」なことがあるのなら、「非倫理的」なこともあるはずだ。それでは、「非倫理的消費」ってな…

【読書ノート】『倫理的市場の経済社会学』1章

倫理的市場の経済社会学:自生的秩序とフェアトレード作者:畑山 要介学文社Amazon 1章 自生的秩序としての倫理的市場 前回に引き続き、ちまちまとまとめていこう。 倫理的市場というのは何なのか、というのは前章でも出てきたけれど、今回も冒頭に改めて説明…

【読書ノート】『倫理的市場の経済社会学』序章

倫理的市場の経済社会学:自生的秩序とフェアトレード作者:畑山 要介学文社Amazon 前置き 基本的に、わたしは経済の話が好きではない。お金の話をする人が苦手だ。前にがんばって日経を読んでいたことがあるけれど、露骨なお金儲けの話ばかりなのにうんざりし…

【読書ノート】『正義のアイデア』第6章

第6章 閉鎖的不偏性と開放的不偏性 イントロ(p193-) 原初状態と契約論の限界(p196-) 国内の市民と国外の他者(p199-) スミスとロールズ(p202-) ロールズのスミス解釈(p209-) 「原初状態」の限界(p212-) 排他的無視とグローバルな正義(p215-) 包…

【読書ノート】『正義のアイデア』第5章

第5章 不偏性と客観性 イントロ(p179-) 不偏性、理解、客観性(p183-) 混乱、言語、コミュニケーション(p186-) 公共的推論と客観性(p189-) 異なる領域における不偏性(p191-) コメント 第5章 不偏性と客観性 イントロ(p179-) 一部の人の自由だけ考えて、…

【読書ノート】『正義のアイデア』第4章

第4章 声と社会的選択 イントロ(p145-) 一つのアプローチとしての社会的選択理論(p150-) 社会的選択理論の射程(p155-) 先験主義と比較主義との距離(p156-) 先験的アプローチは十分か(p160-) 先験的アプローチは必要か(p163-) 比較は先験性を特定で…

【読書ノート】『正義のアイデア』第3章

第3章 制度と個人 イントロ(p129-) 制度選択の依存的な性質(p132-) 契約論的理由による行動の規制(p134-) 権力とそれに対抗する必要(p137-) 基盤としての制度(p139-) 第3章 制度と個人 イントロ(p129-) 古代インドのアショカ王は、人々の福祉と自由…

【読書ノート】『正義のアイデア』第2章

第2章 ロールズとその後 イントロ(p99-) 公正としての正義――ロールズのアプローチ(p101-) 公正から正義へ(p104-) ロールズの正義の原理の応用(p108-) ロールズのアプローチから得られる積極的な教訓(p113-) 効果的に解決できる問題(p116-) 新たな検討を要…

【研究ノート】環境プラグマティズムって結局なんなの?

はじめに 環境プラグマティズムが生まれるまで 第一世代の環境倫理学は「内在的価値」のことばかり考えていた。 内在的価値の研究をしたって環境問題解決にぜんぜん役立たないじゃないか これからは環境プラグマティズムの時代だーゼ~!! 環境プラグマティ…

【読書ノート】『正義のアイデア』第1章

正義のアイデア作者:アマルティア セン明石書店Amazon 第1章 理性と客観性 イントロ(p69-) 啓蒙主義的伝統に対する批判(p74-) アクバルと理性の必要性(p76-) 倫理的客観性と理性的精査(p81-) アダム・スミスと公平な観察者(p88-) 理性の及ぶ範囲(…

【読書ノート】『正義のアイデア』序章

正義のアイデア作者:アマルティア セン明石書店Amazon 序章 正義へのアプローチ イントロ(p31-) 推論と正義(p35-) 啓蒙運動と基本的な相違(p37-) 出発点(p40-) 唯一の先験的合意の実現可能性(p43-) 三人の子供と一本の笛 ――例証(p46-) 比較に基…

【読書ノート】『正義のアイデア』序文

正義のアイデア作者:アマルティア セン明石書店Amazon 読む動機 序文 イントロ p1 我々を道理的に動かすものは、明らかに正すことのできる不正義が我々の周りにあり、それを取り除きたいという認識である p2 不正義のシグナルは批判的に検討する必要がある。…