2023-01-01から1年間の記事一覧

【読書ノート】 Philosophical Foundations of Climate Change Policy第4章

Philosophical Foundations of Climate Change Policy (English Edition)作者:Heath, JosephOxford University PressAmazon 第4章 The Case for Carbon Pricing(カーボンプライシングの課題) イントロ 前章で議論したように、気候変動を世代間正義の問題と…

【読書ノート】 Philosophical Foundations of Climate Change Policy第3章

Philosophical Foundations of Climate Change Policy (English Edition)作者:Heath, JosephOxford University PressAmazon 第3章 Intergenerational Justice(世代間倫理) イントロ 本章と次章における私の目的は、気候変動問題に対する帰結主義的アプロー…

【雑文】数式の出てくる本の読み方ver.1

高校のころは完全に理系で、一番好きな科目は物理だった。当時から私は暗記が苦手だったので、公式は覚えずにそのつど導き出してた気がする。暗記に頼らないかわりに、その公式が何を意味しているかきちんとイメージできるようにするのに時間をかけていた。…

【雑文】苦い顔で読書

休日は何もやる気が出ないでグダグダ過ごしてしまうので、ニーズゼロの世迷い言でも書いて、何かやった気分になろう。 アトピーになったことがきっかけで、免疫学やら分子生物学やらの入門書をちびちび読むのが趣味になった。楽しい。いや、次々とわけのわか…

【読書ノート】 Philosophical Foundations of Climate Change Policy第2章

Philosophical Foundations of Climate Change Policy (English Edition)作者:Heath, JosephOxford University PressAmazon 第2章 Climate Change and Growth(気候変動と成長) イントロ 哲学者たちは、気候変動を「世代間正義」の問題と分類しがちだ。そし…

【読書ノート】Philosophical Foundations of Climate Change 第1章

第1章 False Starts (間違った出発点) Philosophical Foundations of Climate Change Policy (English Edition)作者:Heath, JosephOxford University PressAmazon イントロ 「山のように考えよ」というレオポルドの言葉は有名だ。しかし、そうした環境哲学…

【雑文】AIに仕事を奪われないか心配なので「心配ないよ」と自分を慰める回

Googleニュースを使っていると、「あなたへのおすすめ」で、ChatGPTとかBingとか、あと、AIに仕事を奪われるとか奪われないとかの記事をよくおすすめされる。そうか、私はそういうことに興味があるのか。不安を押し隠していても、Googleのアルゴリズム様には…

【読書ノート】『アダム・スミス 共感の哲学』

アダム・スミス 共感の経済学作者:ジェシー・ノーマン,JESSE NORMAN早川書房Amazon ちょいと時間に余裕が出てきたので、まとめないまま放置していた本をまとめてみよう。 本書は数ヶ月前に特急列車のなかで読んで、とても面白かった記憶がある。しかし例によ…

【読書ノート】Philosophical Foundations of Climate Change イントロ

Philosophical Foundations of Climate Change Policy (English Edition)作者:Heath, JosephOxford University PressAmazon ヒースの代表的な著作はだいたい読んで、なんでこの人がこういう考え方をするようになったのだろうか、というのはなんとなくわかっ…

【雑文】「わかる」の水準のちがいに打ちひしがれよ。

かなりひどいアトピー性皮膚炎になってしまって、先週まで体中に炎症に広がって大やけどみたいな感じになっていた。ステロイドを塗ったり、抗ヒスタミン薬を飲んだり、保湿剤を塗ったり、加湿器を導入したり、部屋のハウスダストを徹底的に除去したりして、…

【雑文】合理もキツいし、非合理もアレだし。

合理性というのは、必ずしも経済合理性のことではない。「理に適う」というのが合理性ということだ。100円と200円を差し出されたとき、200円を選ぶのは理に適っている。たとえ100円しかほしくないとしても、とりあえず200円もらっておいて、100円は貯金して…

【読書ノート】『ルールに従う』第9章(実質ラスト)

ルールに従う―社会科学の規範理論序説 (叢書《制度を考える》)作者:ジョセフ・ヒースNTT出版Amazon 10章「結論」がまだ残ってるけど、特に新しい話題が出てくるわけではないので、この9章でラストということにしたいと思う。 第9章 規範倫理学 イントロ 道徳…

【読書ノート】『ルールに従う』第8章

本書は再読なのだけど、前に読んだときに一番よくわからなかったのがこの第8章だったと記憶している。書かれてることはわかるのだけど、これまでの議論との関連がよくわからなかった。まあ今回はきちんとまとめながら読んでるから、ついていけるだろう…。た…

【雑文】つまり「現実を無視すんなバーロー」ってことですかコース先生。

企業・市場・法 (ちくま学芸文庫)作者:コース,ロナルド・H.筑摩書房Amazon 「コースの定理」で有名なコースの主著です。自分の論文を書いている中で、「企業ってそもそも何?」ということが気になって、手を出してみたら面白かった。 「企業ってそもそも何?…

【読書ノート】『ルールに従う』第7章

アトピーみたいな謎の奇病にかかってしまって、しばらくセーフモードで生活していたけど、そろそろ日常に戻らなくては。胸が痛痒くてしょうがないし、肌を刺激するのが怖くて髭も剃れない(顎がフサフサしてきた)。この本が何の本だったのかも忘れつつある…

【雑文】格差の善悪を決めるのは難しい。

21世紀の資本作者:トマ・ピケティみすず書房Amazon ずっと積ん読になっていたピケティの『21世紀の資本』を昨年末から読み始めて、数日前にやっと読み終わった。ああ長かった。あと、縦書き読みにくい。数字がたくさん出てくる本は基本、横書きにしてほしい…

【読書ノート】『ルールに従う』第6章

ルールに従う―社会科学の規範理論序説 (叢書《制度を考える》)作者:ジョセフ・ヒースNTT出版Amazon 間が空いてしまって、まとめるのがおっくうになってるけど頑張ろう。たぶんこの章は本書のひとつの山場です。「ルールに従う」というタイトルの意図を端的に…

【雑文】異世界転生モノの経済学

興味があって小説投稿サイトを覗いてみたのだけど、予想していた通り異世界転生モノがメチャクチャに多い。あと、タイトルが異様に長い。ある程度時間をかけて探すとセンスのある作品も見つかるけれど、面倒くさい。これなら普通に文芸誌を買うなり、本屋に…

【雑文】ジャンル外に手を出して無脳者になれよ私よ

こないだ某学会誌に投稿された論文の査読をやっていたのだけど、その論文の統計分析のやり方がメチャクチャすぎたので、「統計分析がメチャクチャなのでちゃんと教科書買って勉強してね」とコメントしておいた。学生の論文だから割り引いて考えなきゃならな…

【読書ノート】『ルールに従う』第5章

ルールに従う―社会科学の規範理論序説 (叢書《制度を考える》)作者:ジョセフ・ヒースNTT出版Amazon 第5章 選好の非認知主義 イントロ 経済学者たちは選好は所与であると考えがちだ。好きなものは好きなんだからしょうがない。非合理なものなのだよ、という風…