制度論

【雑文】エシカルだからといってエシカルとは限らない

「エシカル消費」とか「エシカルファッション」とかの言葉が最近増えてるけど、これは変な言葉だと思う。 「エシカル」というのは「倫理的」ということだ。「倫理的」なことがあるのなら、「非倫理的」なこともあるはずだ。それでは、「非倫理的消費」ってな…

【読書ノート】『倫理的市場の経済社会学』1章

倫理的市場の経済社会学:自生的秩序とフェアトレード作者:畑山 要介学文社Amazon 1章 自生的秩序としての倫理的市場 前回に引き続き、ちまちまとまとめていこう。 倫理的市場というのは何なのか、というのは前章でも出てきたけれど、今回も冒頭に改めて説明…

【読書ノート】『倫理的市場の経済社会学』序章

倫理的市場の経済社会学:自生的秩序とフェアトレード作者:畑山 要介学文社Amazon 前置き 基本的に、わたしは経済の話が好きではない。お金の話をする人が苦手だ。前にがんばって日経を読んでいたことがあるけれど、露骨なお金儲けの話ばかりなのにうんざりし…

【研究ノート】内部化をするのは誰なのか?

わたしは環境経済学の「内部化」という発想があんまり好きではない。好きとか嫌いとかの問題じゃない、という人がいると思うし、自分でもそう思うけれど、好きじゃないのは本当だ。その一方で、自分の研究をチマチマ進めていくうちに、やっぱり内部化は大事…

【読書ノート】『啓蒙思想2.0』第12章-ラスト

啓蒙思想2.0〔新版〕 政治・経済・生活を正気に戻すために (ハヤカワ文庫NF)作者:ジョセフ ヒース早川書房Amazon 第12章 精神的環境を守る 選択アーキテクチャ再考 学校教育を終えた人に新しいものごとを学ばせるのは難しい(p376-380) 社会制度はユーザー…

【読書ノート】『啓蒙思想2.0』第4-5章

啓蒙思想2.0〔新版〕 政治・経済・生活を正気に戻すために (ハヤカワ文庫NF)作者:ジョセフ ヒース早川書房Amazon 第4章 直観が間違うとき そして、なぜまだ理性が必要か 直観の限界はメタ認知ができないこと(p143-) 直観が間違う機会が昔に比べて増えてる…

【読書ノート】『啓蒙思想2.0』第3章

啓蒙思想2.0〔新版〕 政治・経済・生活を正気に戻すために (ハヤカワ文庫NF)作者:ジョセフ ヒース早川書房Amazon 第3章 文明の基本 保守主義がうまくいく場合 ものごとはゼロからつくれない(p114-118) 大集団で協力するには?(p125-130) 道徳は外部足場…

【読書ノート】『啓蒙思想2.0』第2章

啓蒙思想2.0〔新版〕 政治・経済・生活を正気に戻すために (ハヤカワ文庫NF)作者:ジョセフ ヒース早川書房Amazon 第2章 クルージの技法――あり合わせの材料から生まれた脳について 理性は莫大なクルージの集積(p87-88) 認知システムの外部足場(p96-97) 人…

【読書ノート】『啓蒙思想2.0』第1章

啓蒙思想2.0〔新版〕 政治・経済・生活を正気に戻すために (ハヤカワ文庫NF)作者:ジョセフ ヒース早川書房Amazon 読む動機 何年か前に読んだのだけど、例によってほぼ忘れてる。 センの『正義のアイデア』では、理性的な公共的討議によって不正義を発見する…

【読書ノート】『モラル・エコノミー』第7章(ラスト)

モラル・エコノミー:インセンティブか善き市民か作者:サミュエル・ボウルズNTT出版Amazon 第7章アリストレレスの立法者の使命 第7章アリストレレスの立法者の使命 イントロ(p181-) 取得と構成(p185-) 道徳的教え――インセンティブが悪いのか(p194-) ア…

【読書ノート】『モラル・エコノミー』第6章

モラル・エコノミー:インセンティブか善き市民か作者:サミュエル・ボウルズNTT出版Amazon 第6章立法者のジレンマ 第6章立法者のジレンマ イントロ(p145-) 経済学はアリストテレスを発見する(p146-) メカニズム・デザイン――価格は倫理の任務を果たせるか…

【読書ノート】『モラル・エコノミー』第5章

モラル・エコノミー:インセンティブか善き市民か作者:サミュエル・ボウルズNTT出版Amazon 第5章リベラルな市民文化(p107-) 第5章リベラルな市民文化(p107-) イントロ(p107-) 経済は人々を生産する(p110-) インセンティブと選好の進化(p113-) イン…

【読書ノート】『モラル・エコノミー』第4章

モラル・エコノミー:インセンティブか善き市民か作者:サミュエル・ボウルズNTT出版Amazon 第4章 情報としてのインセンティブ(p73-) 第4章 情報としてのインセンティブ(p73-) イントロ(p73-) 実験から選好について学ぶ(p74-) インセンティブの意味(p…

【読書ノート】『モラル・エコノミー』第3章

モラル・エコノミー:インセンティブか善き市民か作者:サミュエル・ボウルズNTT出版Amazon 第3章 道徳感情と物質的利害(p35-) 第3章 道徳感情と物質的利害(p35-) イントロ(p35-) ホモ・ソキアリス(p37-) クラウディングアウト(クラウディングイン)…

【読書ノート】『モラル・エコノミー』第2章

モラル・エコノミー:インセンティブか善き市民か作者:サミュエル・ボウルズNTT出版Amazon 第2章 悪党のための立法(p9-) 第2章 悪党のための立法(p9-) イントロ(p9-) マキャベリの共和制(p10-) 悪党のための立法(p15-) 道徳感情と物質的利害の分離…

【読書ノート】『モラル・エコノミー』第1章

モラル・エコノミー:インセンティブか善き市民か作者:サミュエル・ボウルズNTT出版Amazon 読む動機 何年か前に読んだ本だけど、ちょっと必要があって再勉強してみることにした。 最初に読んだときは素晴らしい本だと思った。「経済を機能させるには倫理が必…

【読書ノート】『ヘーゲルの実践哲学』三章

ヘーゲルの実践哲学―人倫としての理性的行為者性 (叢書・ウニベルシタス)作者:ロバート・B.ピピン法政大学出版局Amazon いかんいかん、まとめるのがめんどくさくてずっと放置してた。そろそろやんないと。 実は、毎日コツコツ読んではいて、今は8章の途中ま…

【読書ノート】『正義のアイデア』第6章

第6章 閉鎖的不偏性と開放的不偏性 イントロ(p193-) 原初状態と契約論の限界(p196-) 国内の市民と国外の他者(p199-) スミスとロールズ(p202-) ロールズのスミス解釈(p209-) 「原初状態」の限界(p212-) 排他的無視とグローバルな正義(p215-) 包…

【読書ノート】『正義のアイデア』第5章

第5章 不偏性と客観性 イントロ(p179-) 不偏性、理解、客観性(p183-) 混乱、言語、コミュニケーション(p186-) 公共的推論と客観性(p189-) 異なる領域における不偏性(p191-) コメント 第5章 不偏性と客観性 イントロ(p179-) 一部の人の自由だけ考えて、…

【読書ノート】『正義のアイデア』第4章

第4章 声と社会的選択 イントロ(p145-) 一つのアプローチとしての社会的選択理論(p150-) 社会的選択理論の射程(p155-) 先験主義と比較主義との距離(p156-) 先験的アプローチは十分か(p160-) 先験的アプローチは必要か(p163-) 比較は先験性を特定で…

【読書ノート】『正義のアイデア』第3章

第3章 制度と個人 イントロ(p129-) 制度選択の依存的な性質(p132-) 契約論的理由による行動の規制(p134-) 権力とそれに対抗する必要(p137-) 基盤としての制度(p139-) 第3章 制度と個人 イントロ(p129-) 古代インドのアショカ王は、人々の福祉と自由…

【読書ノート】『正義のアイデア』第2章

第2章 ロールズとその後 イントロ(p99-) 公正としての正義――ロールズのアプローチ(p101-) 公正から正義へ(p104-) ロールズの正義の原理の応用(p108-) ロールズのアプローチから得られる積極的な教訓(p113-) 効果的に解決できる問題(p116-) 新たな検討を要…

【読書ノート】『ヘーゲルの実践哲学』二章残り

ヘーゲルの実践哲学―人倫としての理性的行為者性 (叢書・ウニベルシタス)作者:ロバート・B.ピピン法政大学出版局Amazon p72-73 精神の説明は「私たち」についての問題であって、自然科学の問題ではない。 p91 理性に導かれて精神はみずから形成する。 p92 何…

【研究ノート】環境プラグマティズムって結局なんなの?

はじめに 環境プラグマティズムが生まれるまで 第一世代の環境倫理学は「内在的価値」のことばかり考えていた。 内在的価値の研究をしたって環境問題解決にぜんぜん役立たないじゃないか これからは環境プラグマティズムの時代だーゼ~!! 環境プラグマティ…

【読書ノート】『正義のアイデア』第1章

正義のアイデア作者:アマルティア セン明石書店Amazon 第1章 理性と客観性 イントロ(p69-) 啓蒙主義的伝統に対する批判(p74-) アクバルと理性の必要性(p76-) 倫理的客観性と理性的精査(p81-) アダム・スミスと公平な観察者(p88-) 理性の及ぶ範囲(…

【読書ノート】『正義のアイデア』序章

正義のアイデア作者:アマルティア セン明石書店Amazon 序章 正義へのアプローチ イントロ(p31-) 推論と正義(p35-) 啓蒙運動と基本的な相違(p37-) 出発点(p40-) 唯一の先験的合意の実現可能性(p43-) 三人の子供と一本の笛 ――例証(p46-) 比較に基…

【読書ノート】『正義のアイデア』序文

正義のアイデア作者:アマルティア セン明石書店Amazon 読む動機 序文 イントロ p1 我々を道理的に動かすものは、明らかに正すことのできる不正義が我々の周りにあり、それを取り除きたいという認識である p2 不正義のシグナルは批判的に検討する必要がある。…

【読書ノート】『ブランダム 推論主義の哲学』 第7章

ブランダム 推論主義の哲学: プラグマティズムの新展開作者:白川晋太郎青土社Amazon 第7章 推論主義は相対主義か 1 まずは課題を確認 2 『明示化』における試み 3 相互承認論へ 4 承認欲求に訴えよう 5 『信頼の精神 A Spirit of Trust』という書物 6 「規範…

【読書ノート】『ブランダム 推論主義の哲学』 第6章

ブランダム 推論主義の哲学: プラグマティズムの新展開作者:白川晋太郎青土社Amazon 第6章 推論主義を応用してみる 精神病理 フィクション(虚構) 社会制度 第6章 推論主義を応用してみる お目当ての相互承認は第7章で出てくるのだけど、先に第6章もやって…

【読書ノート】『ブランダム 推論主義の哲学』 第4章

ブランダム 推論主義の哲学: プラグマティズムの新展開作者:白川晋太郎青土社Amazon 第4章 推論的意味論 1 「指示」や「真理」というものの役割は? 2 推論的意味論の三つのレベル 3 文の意味 4 単称名と述語の意味 5 直示語の意味 (6節と7節は省略) 第4章…